お知らせ
先日Respiratory Medicineにpublishされた, ALISのリアルワールドデータと投与期間中の肺障害に関する論文を紹介します.
複十字病院と東邦大学大森病院の2施設による, 後ろ向き研究になります.
複十字病院のブログや倉原優先生の「呼吸器内科医」ブログでも紹介されていますので,そちらも参考にしてみてください.
複十字病院ブログ(筆頭の時田先生による論文の概要):
呼吸器内科医ブログ:
アリケイス投与後の肺異常、投与継続可能か? : 呼吸器内科医
重要と思われるデータを以下にまとめます.
●治療効果について:
・全体の喀痰培養陰性化率は28%.
・空洞を有する肺MAC症では喀痰培養陰性化率が9.4%と低い.
・空洞がない場合の喀痰培養陰性化率は64.7%.
・BMI18.5 kg/m2未満の症例では優位に喀痰培養陰性化率が低い. (aOR 0.07, CI 0.02–0.35)
●アミカシン耐性化について:
・ALIS投与中に, 6例でAMKが新たに耐性化していた.(6/49, 12.2%)
・耐性化した6例全例が空洞を有していた.
・3例がALIS投与開始時の時点でCAM耐性例であった.
●ALIS投与中の胸部異常陰影について:
・ALIS投与中は82.1%に, 吸入による胸部異常陰影が出現していた.
・陰影は4つのパターンに分類できる.
(Multiple nodular pattern, OP pattern, HP pattern, DAD pattern)
・ほとんどが, 淡い粒状の影(Multiple nodular pattern)で, 下葉優位に分布する.
・症状を伴う胸部異常陰影が出現したのは, 4例のみであった.(4/76, 5.3%)
⇒症状を伴う4例の内訳は OP pattern:2例, HP pattern:1例, DAD pattern:1例
・DAD patternはALIS吸入開始後初期に起こり, 発熱を伴っていた.
・基本的にはALISの中止のみ(全身性ステロイドなし)で軽快していた.