お知らせ

2025-11-01 12:48:00

 

先日Respiratory Medicinepublishされた, ALISのリアルワールドデータと投与期間中の肺障害に関する論文を紹介します.

複十字病院と東邦大学大森病院の2施設による, 後ろ向き研究になります.

 

Real-world effectiveness and lung abnormalities associated with amikacin liposome inhalation suspension - PubMed

 

 

複十字病院のブログや倉原優先生の「呼吸器内科医」ブログでも紹介されていますので,そちらも参考にしてみてください.

 

 

複十字病院ブログ(筆頭の時田先生による論文の概要):

Respiratory Medicineに、ALISの検討を行った論文”Real-world effectiveness and Lung Abnormalities Associated with Amikacin Liposome Inhalation Suspension”がPublishされました。東邦大学との共同研究です。 | 複十字病院 呼吸器センター(呼吸器科)のブログ

 

呼吸器内科医ブログ:

アリケイス投与後の肺異常、投与継続可能か? : 呼吸器内科医

 

 

重要と思われるデータを以下にまとめます.

 

治療効果について:

・全体の喀痰培養陰性化率は28%.

・空洞を有する肺MAC症では喀痰培養陰性化率が9.4%と低い.

・空洞がない場合の喀痰培養陰性化率は64.7%.

BMI18.5 kg/m2未満の症例では優位に喀痰培養陰性化率が低い. (aOR 0.07, CI 0.02–0.35)

 

 

アミカシン耐性化について:

ALIS投与中に, 6例でAMKが新たに耐性化していた.6/49, 12.2%

・耐性化した6例全例が空洞を有していた.

3例がALIS投与開始時の時点でCAM耐性例であった.

 

 

ALIS投与中の胸部異常陰影について:

ALIS投与中は82.1%に, 吸入による胸部異常陰影が出現していた.

・陰影は4つのパターンに分類できる.

 (Multiple nodular pattern, OP pattern, HP pattern, DAD pattern)

・ほとんどが, 淡い粒状の影(Multiple nodular pattern)で, 下葉優位に分布する.

・症状を伴う胸部異常陰影が出現したのは, 4例のみであった.4/76, 5.3%

⇒症状を伴う4例の内訳は OP pattern:2例, HP pattern:1例, DAD pattern:1例

DAD patternはALIS吸入開始後初期に起こり, 発熱を伴っていた.

・基本的にはALISの中止のみ(全身性ステロイドなし)で軽快していた.