お知らせ
日本の研究グループから、CHEST誌に重要なシステマティックレビューが報告されました。
気管支拡張症では好中球性炎症が病態の中心と考えられており、近年はDPP-1阻害薬をはじめとする抗炎症薬の開発が進んでいます。
また、マクロライド長期療法は免疫調節作用を有し、気管支拡張症増悪を予防することが知られております。
その他にも、CXCR2阻害薬、PDE4阻害薬、スタチンなどの様々な抗炎症薬のRCTが実施されてきました。
本論文は、これら抗炎症療法に関するRCTを網羅したシステマティックレビューであり、さらにNetwork meta-analysisによる比較解析も行われています。
臨床上示唆に富む重要な結果が報告されています。
■対象となった抗炎症薬
・DPP-1阻害薬
・マクロライド
・PDE4阻害薬
・CXCR2阻害薬
・スタチン
・ICS
・ICS/LABA
■結果
●対象
・31の試験
・4,092例
●増悪
・マクロライド:
RR:0.44(0.35-0.56)
・DPP-1阻害薬:
RR:0.73(0.60-0.88)
●重症増悪
・DPP-1阻害薬
RR:0.70(0.54-0.89)
●マクロライドの有無によるDPP-1阻害薬の増悪予防効果
・マクロライドあり:
RR:0.77(0.60-0.99)
・マクロライドなし:
RR:0.77(0.67-0.89)
●マクロライド間での増悪予防効果の比較
・アジスロマイシン:
RR:0.37(0.29-0.48)
・エリスロマイシン:
RR:0.56(0.42-0.76)
・ロキシスロマイシン:
RR:0.69(0.32-1.48)
【コメント】
マクロライド使用下でもDPP-1阻害薬の有効性が示されており、重要な報告かと思います。
また、マクロライドの中ではアジスロマイシンの有効性が高いという結果が示されました。
しかし、本邦では保険適応上の問題やNTM耐性化リスクなどの観点から、アジスロマイシン単剤の長期投与は実施しにくい状況にあります。
群馬県の皆様にNTMをついてよく知っていただき、病気になっても安心して過ごしていただけるよう市民公開講座を開催します👏!
■日時
2026年8月1日(土) 13時~15時
■会場
高崎市総合福祉センター たまごホール
患者さんやご家族、医療従事者、一般の方、どなたでも大歓迎です!
参加費は無料ですので、皆様お誘い合わせの上お気軽にご参加ください!
下記フライヤーを印刷のうえ、自由にご活用いただいてかまいません。
市民公開講座フライヤー.pdf (6.56MB)
患者さんへの配布や外来待合室での掲示など、NTM患者さんへの周知にご協力いただけますと幸いです。
Respiratory Investigationで、Brensocatibの第Ⅲ相試験(ASPEN trial)の日本人データが報告されています。
筆頭著者は複十字病院の森本耕三先生です。
ASPEN studyには、日本人が87例登録されていました。
(10 mg:30例、25 mg:28例、プラセボ:29例)
本試験では、12か月間に2回以上増悪歴のある症例が組み入れられています。
日本人においても下記の項目において、有効性が示されています。
●年間増悪回数の減少
10 mg:RR 0.37 (95 % CI, 0.16–0.87)
25 mg:RR 0.32 (95 % CI, 0.14–0.75)
●初回増悪までの期間延長
10 mg:HR 0.46 (95 % CI, 0.19–1.12)
25 mg:HR 0.48 (95 % CI, 0.20–1.17)
●重症増悪の回数の減少
10 mg:RR 0.11 (95 % CI, 0.01–1.04)
25 mg:RR 0.30 (95 % CI, 0.06–1.62)
呼吸機能(FEVおよびFVCの変化量)やQOL(QOL-B RSSスコアやBEST symptom diary score)においても、特に25 mg群では良好な結果が得られています。
安全性については、プラセボと差はありませんでした。
本試験に登録された日本人集団は、その他の国の集団と比較して、以下のような特徴があげられています。
■COPDの既往が少ない
■NTMの既往が多い
■ICSの使用率が低い
■マクロライドの使用率が高い
■%FEV1の平均値が高い
■3回以上の増悪歴を有する患者が多い
このような日本人特有の背景があっても、Brensocatibの有効性が得られていたという貴重なデータになります。
Brensocatibは2025年8月にFDAで承認され、同年11月には欧州でも承認されています。
今後、本邦でも承認が予想されています。
ALISの初回治療の前向き試験(ARISE試験)のデータが発表されました。
■対象患者
・MAC-LD
・成人
・non-cavitary
・新規診断例もしくは再発例
■デザイン
・ALIS+AZM+EB
と
・AZM+EB
に1:1に割付
6カ月間投与し, 1か月間治療中止.
■主要評価項目
・QOL-B Respiratory Domain
・PROMIS F SF-7a
■結果
・合計:99例
(48例:ALIS群, 51例:comparator群)
●Culture conversion(M6)
・ALIS群:80.6%
・comparator群:63.9%
●Culture conversion(M7)
・ALIS群:78.8%
・comparator群:47.1%
●Culture conversion(M1)
・ALIS群:74.3%
・comparator群:46.7%
●QOL-B RD (呼吸ドメイン)
ALIS群、comparator群ともに改善.
しかし, comparator群では3か月目からプラトーになり, 治療終了後に低下.
ALIS群では, Culture conversionとQOL-B RDに正の相関あり.
●PROMIS F SF-7a
ALIS群, comparator群ともに治療により改善.
明らかな群間差はなし.
今回はPROの評価が主体ですので, 今後のENCORE試験の結果が待たれます.

