お知らせ
気管支拡張症において、世界で現在進行中の治験について、まとめてみました。
各試験の詳細は、ClinicalTrials.govをご確認ください。
・BI1291583:DPP-1阻害薬、経口薬、phaseⅢ、NCT06872892
・HSK31858:DPP-1阻害薬、経口薬、phaseⅢ、NCT06660992
・RSS0343:DPP-1阻害薬、経口薬、phaseⅡ、NCT06775340
・XH-S004:DPP-1阻害薬、経口薬、phaseⅡ、NCT06981091
・Itepekimab:抗IL-33抗体、注射薬、phaseⅡ、NCT06280391
・Ensifentrine:PDE3, 4阻害薬、吸入薬、phaseⅡ、NCT06559150
・CSL787:免疫グロブリン、吸入薬、phaseⅡ、NCT07048262
・AZD0292:緑膿菌に対するモノクローナル抗体、注射薬、phaseⅡ、NCT07088926
・CHF6333:好中球エラスターゼ阻害薬、吸入薬、phaseⅠ/Ⅱ、NCT06166056
・RESP30X:NO、吸入薬、phaseⅠ/Ⅱ、NCT06663176
Brensocatibに続いて、多数のDPP-1阻害薬の治験が走っているようです。
線毛機能不全症候群(Primary ciliary dyskinesia:PCD)を疑うための問診としては、PICADAR scoreが知られています。
PICADAR: a diagnostic predictive tool for primary ciliary dyskinesia - PubMed
5点がカットオフとされていますが、内臓逆位を有さないPCDの場合、カットオフ値未満となる症例も少なくありません。
本邦の内臓逆位を有する頻度は約25%と低いことが知られていますので、その他の所見からPCDを疑う必要があります。
以下、私見も含みますが、PCDを疑うべき特徴についてまとめてみました。
PCDの多くの症例が
・幼少期からの副鼻腔炎もしくは中耳炎
・若年発症の気管支拡張症
を認めますので、まずはこの2つの所見がある患者さんにおいてはPCDを疑う必要があるかと思います。
基本的に上記2つを認める症例の場合は、一度はPCDのスクリーニングを検討すべきです。
また、PCDの多くが典型的な画像所見(中葉の気管支拡張と下葉の粒状影)を呈します。
若年の場合は下葉に病変を認めない患者さんもいますが、中葉に気管支拡張を認めない場合はPCDの可能性が下がります。
その他に、疑うべき徴候としては、
・不妊症(不妊治療歴)
不妊治療をされていれば、お子さんがいる患者さんも多くいらっしゃいます。
・原因不明の出生時呼吸不全
約半数の患者さんは出生時呼吸不全を認めません。
・マクロライドに不応
・蝶形骨洞もしくは前頭洞の低形成・無形成
・両親の近親婚のエピソード
・内臓逆位、内臓錯位
・先天性心疾患
があげられます。
PCDは2024年4月から指定難病の登録が開始されました。
同年7月には、外注の遺伝子検査が保険収載されています。
https://www.genetest.jp/test_search.html
(公益財団法人かずさDNA研究所かずさ遺伝子検査室)
外注の遺伝子検査のみでは診断のつかないPCDの患者さんもいますので、疑わしい場合は専門施設へご紹介ください。
学会員の先生方は既にご存知かとは思いますが、キャピリア® MAC抗体ELISAの安定した供給が維持できず、一部では測定困難となることが想定されているようです。
日本結核非結核性抗酸菌症学会、日本呼吸器学会、日本感染症学会、日本臨床微生物学会の4学会合同で文書が作成されており、学会ホームページで公開されております。
2025年8月12日
BRINSUPRI™(Brensocatib)が遂に、非嚢胞性線維症性気管支拡張症(non-cystic fibrosis bronchiectasis:NCFB)に対してFDAで承認されました。
気管支拡張症に対して初めて承認された薬剤になります。
今後、日本でも承認が予想されております。
▶Brensocatibの主要な臨床試験結果
・PhaseⅢ:ASPEN試験
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40267423/
・PhaseⅡ:WILLOW試験