お知らせ
小児の非嚢胞性線維症性気管支拡張症におけるアジスロマイシン長期療法の非盲検ランダム化中止試験の結果が, ERJ Open Researchで報告されています.
対象:
3-17歳のNCFBで, 週3回のAZM長期療法を6カ月以上実施している患者.
期間:
2015年4月~2019年12月
(ランダム化後6カ月間追跡)
症例数:
51例
(中止群:24例, 継続群:27例)
(感染後:55.6%, PCD:28.9%, 免疫不全:7.7%)
■結果
・AZM中止群で…
初回増悪までの期間が短い(p=0.03)
増悪を経験した患者の割合が高い傾向(58.3% vs. 33.3%, p=0.07)
・プロトコール遵守例でのCox解析では, AZM中止は初回増悪の独立した危険因子であった (aHR 3.74(95% CI 1.26–11.11))
本論文に関連してEditorialが掲載されており, そちらも大変興味深い内容となっています.
Goodbye seems to be the hardest word: long-term macrolide withdrawal in bronchiectasis - PubMed
本研究のLimitationとしては, 以下の点を指摘しています.
・症例数が51例程度
・オープンラベルであること
・追跡期間が6カ月と短い点
このEditorialでは今後の課題として
「症状, 増悪, バイオマーカーなどを含めて, どの状態なら中止可能かを明確にすること」
の重要性を指摘しています.
Editorialの筆者らは, 実際のClinical Practiceとして,
「少なくとも12か月は継続し, その後, 頻回増悪がなく, 今後の進行・悪化リスクも低い場合にのみ中止を検討する」
「中止後に増悪が増える可能性や、再開して長期継続する可能性について患者・介護者と共有したうえで意思決定すべき」
と記載していました.
マクロライド長期療法の中止のタイミングについては、成人例でも検討すべき重要なClinical questionと感じます.
PCDのスコアリングシステムとしては、PICADAR scoreが有名ですが (1), 内臓逆位や先天性心疾患の頻度の低い本邦では, カットオフ未満となる症例が一定数いることが知られています (2)(3).
PCDは中葉の気管支拡張や下葉の粒状影のように特徴的な画像所見を呈することも知られています (2).
今回, 中国から画像所見と病歴を組み合わせたスコアリングシステムが報告されました.
■PCDSOSに含まれる項目と各点数
・中葉または舌区の無気肺/肺葉切除歴:2点
・新生児期の呼吸器症状:2点
・内臓逆位:5点
・慢性副鼻腔炎:2点
・小児期からの慢性中耳炎または難聴:1点
・不妊:1点
(カットオフ:3点)
(1) Behan L, Dimitrov BD, Kuehni CE, et al.: Eur Respir J. 2016 Apr;47(4):1103-12.
(2) Ito M, Nakano A, Arimoto Y, et al.: Respir Investig. 2026 Jan 21;64(2):101376.
(3) Chiyonobu K, Xu Y, Feng G, et al.: Auris Nasus Larynx. 2022 Apr;49(2):248-257.
日本の研究グループから、CHEST誌に重要なシステマティックレビューが報告されました。
気管支拡張症では好中球性炎症が病態の中心と考えられており、近年はDPP-1阻害薬をはじめとする抗炎症薬の開発が進んでいます。
また、マクロライド長期療法は免疫調節作用を有し、気管支拡張症増悪を予防することが知られております。
その他にも、CXCR2阻害薬、PDE4阻害薬、スタチンなどの様々な抗炎症薬のRCTが実施されてきました。
本論文は、これら抗炎症療法に関するRCTを網羅したシステマティックレビューであり、さらにNetwork meta-analysisによる比較解析も行われています。
臨床上示唆に富む重要な結果が報告されています。
■対象となった抗炎症薬
・DPP-1阻害薬
・マクロライド
・PDE4阻害薬
・CXCR2阻害薬
・スタチン
・ICS
・ICS/LABA
■結果
●対象
・31の試験
・4,092例
●増悪
・マクロライド:
RR:0.44(0.35-0.56)
・DPP-1阻害薬:
RR:0.73(0.60-0.88)
●重症増悪
・DPP-1阻害薬
RR:0.70(0.54-0.89)
●マクロライドの有無によるDPP-1阻害薬の増悪予防効果
・マクロライドあり:
RR:0.77(0.60-0.99)
・マクロライドなし:
RR:0.77(0.67-0.89)
●マクロライド間での増悪予防効果の比較
・アジスロマイシン:
RR:0.37(0.29-0.48)
・エリスロマイシン:
RR:0.56(0.42-0.76)
・ロキシスロマイシン:
RR:0.69(0.32-1.48)
【コメント】
マクロライド使用下でもDPP-1阻害薬の有効性が示されており、重要な報告かと思います。
また、マクロライドの中ではアジスロマイシンの有効性が高いという結果が示されました。
しかし、本邦では保険適応上の問題やNTM耐性化リスクなどの観点から、アジスロマイシン単剤の長期投与は実施しにくい状況にあります。

