お知らせ

2025-08-28 08:44:00

 

線毛機能不全症候群(Primary ciliary dyskinesia:PCD)を疑うための問診としては、PICADAR scoreが知られています。

PICADAR: a diagnostic predictive tool for primary ciliary dyskinesia - PubMed

 

5点がカットオフとされていますが、内臓逆位を有さないPCDの場合、カットオフ値未満となる症例も少なくありません。

 

本邦の内臓逆位を有する頻度は約25%と低いことが知られていますので、その他の所見からPCDを疑う必要があります。

 

以下、私見も含みますが、PCDを疑うべき特徴についてまとめてみました。

 

PCDの多くの症例が

・幼少期からの副鼻腔炎もしくは中耳炎

・若年発症の気管支拡張症

を認めますので、まずはこの2つの所見がある患者さんにおいてはPCDを疑う必要があるかと思います。

基本的に上記2つを認める症例の場合は、一度はPCDのスクリーニングを検討すべきです。

 

また、PCDの多くが典型的な画像所見(中葉の気管支拡張と下葉の粒状影)を呈します。

若年の場合は下葉に病変を認めない患者さんもいますが、中葉に気管支拡張を認めない場合はPCDの可能性が下がります。

 

その他に、疑うべき徴候としては、

・不妊症(不妊治療歴)

不妊治療をされていれば、お子さんがいる患者さんも多くいらっしゃいます。

・原因不明の出生時呼吸不全

約半数の患者さんは出生時呼吸不全を認めません。

・マクロライドに不応

・蝶形骨洞もしくは前頭洞の低形成・無形成

・両親の近親婚のエピソード

・内臓逆位、内臓錯位

・先天性心疾患

があげられます。

 

PCD20244月から指定難病の登録が開始されました。

同年7月には、外注の遺伝子検査が保険収載されています。

https://www.genetest.jp/test_search.html

(公益財団法人かずさDNA研究所かずさ遺伝子検査室)

 

 

外注の遺伝子検査のみでは診断のつかないPCDの患者さんもいますので、疑わしい場合は専門施設へご紹介ください。