お知らせ
先日発出されました, ERSとATS合同のPCD診断ガイドラインについてまとめてみました.
■Introduction
●PCDの原因遺伝子>55遺伝子
●PCDの有病率:1/7,500 ←近親婚の頻度や民族の閉鎖性に影響を受ける.
●PCDの特徴:早期からの湿性咳嗽, 鼻副鼻腔炎, 内臓位置異常, 中耳炎, 不妊
●伝音難聴だけでなく, 感音難聴もきたす.
●男性不妊の原因:精子鞭毛もしくは精巣輸出管の線毛運動の障害.
●女性不妊の原因:卵管内の線毛運動の障害.
■PCDの確定診断
★遺伝子型と表現型の違いが予後に影響し, 将来的に遺伝子特異的治療の選択肢となり得るため, 可能な限り遺伝学的診断を強く推奨する.
■以下の場合は,「PCD highly likely」と診断する:
1) VUSが1アレルまたは2アレルに存在する場合, あるいは中等度のエビデンスを有する遺伝子に病的または病的と考えられるバリアントが認められる場合.
⇒TEM Class2, HSVM異常あり, IF異常ありのいずれかがあれば.
2) TEMでclass 2欠損がみられる患者
⇒遺伝子検査, HSVM異常あり, IF異常ありのいずれかがあれば.
3) TEMと遺伝子検査でも異常を認めなくても…
⇒典型的なPCDの臨床症状あり+nNO低値+HSVM(Post-cell culture)で異常あり
の場合.
★検査結果が不確かであったり, 一貫した結果が得られない場合には, 再検査を行う.
■PICO1: nNOでPCDを疑うべきか?
●1A:During velum closure (軟口蓋を閉鎖した状態)←レジスター法
推奨の強さ:Strong
エビデンスの確実性:moderate
統合感度は 93%(95%CI: 88–95%), 統合特異度は 88%(95%CI:79–93%)
●1B:During tidal breathing(安静時呼吸)
推奨の強さ:条件付き
エビデンスの確実性:very low
感度は 77%~100%, 特異度は 57%~90%
(対象研究数が少ないため統合解析は実施せず、3研究が含まれた)
■PICO2: HSVMでPCDを疑うべきか?
●2A:Post-cell culture
感度は 92.5%(95%CI: 70.9–98.4%), 特異度は 98.1%(95%CI: 91.2–99.6%)
●2B:Pre-cell culture
感度は 97.9%(95%CI: 93.7–99.3%), 特異度は 80.0%(95%CI: 54.7–93.0%)
推奨の強さ:Strong
エビデンスの確実性:very low
■IFでPCDを疑うべきか?
推奨の強さ:Strong
エビデンスの確実性:high
感度はそれぞれ 0.84-0.88, 特異度は 1.00
■PICO1-3のまとめ
●nNO, HSVM, IFは, PCDの検査としては有用であり, PCDの診断アルゴリズムに含めることができる.
●どの検査も感度や特異度は100%ではないため, 複数の検査を組み合わせるべき.
●特定の検査を特定の順序で実施すべきだという根拠は存在しない.
●遺伝子検査またはTEMにより診断が確定できない場合には, 追加検査を要する.
●全ての検査が常に必要となるわけではない.
●施行する検査を必要以上に限定した場合, 診断精度が低下する可能性がある.
●診断は, 可能な限り専門センターに紹介すべきである.