お知らせ
本日は、世界NTMデーです!
本邦でも日本結核・非結核性抗酸菌症学会、NTMir、J-BREATHの合同で、疾患啓発が行われています。
群馬県の各施設でも啓発活動を進めていきましょう!
COPDは気管支拡張症の原因になることが知られており、EMBARCのレジストリー研究では、特発性、感染後についで頻度の高い疾患になります。
COPDと気管支拡張症の合併は、Bronchiectasis COPD overlap syndrome (BCOS)と評され、その基準としてROSE criteriaが知られています。
R:radiology
O:obstruction
S:symptoms
E:exposure
先日、東北大のグループによる本邦のCOPDにおける前向き観察研究の結果が、Respiratory investigationから報告されました。
こちらのコホートでは、COPDの15%に気管支拡張を認めております。
COPDにおける気管支拡張症の合併は死亡率や増悪率に影響を及ぼしませんでしたが、ROSE criteriaを満たす症例の5年死亡率が45.4%と高いことが示されています。
COPD+気管支拡張症の死亡リスク因子として、症状、Bronchiectasis severity index高値、緑膿菌感染が抽出されています。
Bronchiectasis severity indexは気管支拡張症の代表的な予後予測スコアリングシステムになります。
The bronchiectasis severity index. An international derivation and validation study - PubMed
2024年に米国より、気管支拡張症の原因遺伝子としてWFDC2遺伝子変異が報告されました。
複十字病院からは本邦で初のWFDC2遺伝子変異による気管支拡張症3例を報告しています。
WFDC2遺伝子変異による気管支拡張症は常染色体潜性遺伝性疾患です。
PCDと比較すると頻度は低いですが、幼少期からの副鼻腔炎を有する若年の気管支拡張症患者においては鑑別にあげる必要があります。
胸部CT写真ではCFと同様に上葉優位の気管支拡張を認めます。
このような画像所見を認めた際には、CFやWFDC2遺伝子変異による気管支拡張症を疑う必要があります。
鼻腔一酸化窒素もPCDと同様に低下することが知られています。
血中のWFDC2(HE4)は卵巣癌の腫瘍マーカーとして外注検査が可能です。
WFDC2遺伝子変異による気管支拡張症では、血中のWFDC2は低下するため、外注検査では測定感度以下になると予想されます。
肺移植を要する症例や死亡例が報告されておりますので、早期診断・早期介入が必要です。
疑わしい患者さんがいましたら、専門施設への紹介をご検討ください。
次回は8月15日(金)18時00分~になります。
複十字病院の理学療法士より、「肺NTM症/気管支拡張症の呼吸リハビリテーション」についてお話していただきます。
各施設の理学療法士さんを是非お誘いください。
肺非結核性抗酸菌症および気管支拡張症において、気道クリアランス療法は非常に大切な治療になります。
気道クリアランス療法の方法としては、Active cycle of breathing techniques(自己排痰法)、エアロビカ®などの振動呼気陽圧療法器具(OPEP)、高張食塩水吸入などがあります。
しかし、ACBTを適切に指導できる理学療法士が不足しており、本邦でもまだまだ普及していない現状です。
院内でエアロビカ®を購入できる施設も少ないのではないでしょうか。
自己排痰法の方法については、You tubeで見ることができますので、是非患者さんにもご案内ください。