お知らせ
気管支拡張症を診療していると, 喀痰培養検査でExophialaが検出されることがありますが、その病的意義や治療方針については明らかにされていません.
今回は, 愛知医科大学からのRespiratory investigationの論文を紹介します.
Clinical characteristics of pulmonary infections caused by Exophialadermatitidis - PubMed
2023年には長崎大学からも, Exophialaの報告がされております.
喀痰からE. dermatitidisが検出された13例が解析されております.
▶検体の種類
・気管支鏡検査:7例
6例:吸引痰, 1例:BAL
・喀痰:6例
・穿刺液:1例
▶背景疾患
・気管支拡張症:6例
・COOD:4例
・NTM:3例
・LK:2例
・ILD:2例
・喘息:2例
▶並存疾患(非呼吸器疾患)
・DM:4例
・免疫抑制薬の使用:3例
・化学療法(悪性腫瘍):2例
▶画像所見
・気管支拡張:9例
・浸潤影:9例
・粘液栓:8例
●Definite infection:6例(46.2%)
*Definiteの定義(以下のいずれか)
(1) 気管支鏡検体から E. dermatitidis が分離され、他の病原体は検出されない症例
(2) 抗真菌薬治療が有効である症例
(3) 抗真菌薬治療を行わなかった場合に肺病変が悪化した症例
●β-Dグルカン陽性率:2/10例(20%)
●治療
・6例:ITRZ
⇒3例:改善, 1例:不変, 2例:悪化
●MIC結果(3例)
・ITRZ:0.06~0.5 μg/mL
・VRCZ:0.125~0.25 μg/mL
・MCFG:8~>16 μg/mL
・CPFG:16~>16 μg/mL
・AMBH-B:0.125~0.5 μg/mL
・5-FC:2~4μg/mL
・FLCZ:16~32 μg/mL
【コメント】
気管支拡張症ではExophiala感染症が悪さをすることもありますので, 抗酸菌培養だけではなく, 真菌含めた一般細菌培養検査も重要になってきます.
治療の必要性については明確な指針はございませんが, Treatable traitsの1つとして, 治療の検討が必要となる症例もいるかもしれません.
エリスロマイシンの供給不足が続いており、12月22日に日本結核・非結核性抗酸菌症学会より、見解が出ております。
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そちらに記載されている、具体的な対応は以下の通りです。
<具体的な対応>
① EM投与前の患者
症状が軽微で増悪歴がなければ、マクロライドは投与しない。
② EM療法中の患者
投与前から症状が軽微であれば中止を検討する。
③ EM療法中の患者で、EMが有効で中止が難しい症例
喀痰検査でNTM(特にMACやマクロライド感受性 M. abscessus)が繰り返し(3回以上)培 養陰性であればCAMへスイッチする。
NTM症の既往がある場合には慎重に判断する(キャピリアMAC も参考となるが明確な基準はない)。
④ NTM症でマクロライド療法(EM療法)開始前の患者
軽症(症状が軽微、空洞のない軽症のNB所見、塗抹陰性)であれば、EMを使わずに watchful waiting を行う。
⑤ NTM症患者でEM投与中の患者
症状が軽微だが進展抑制目的に開始していた場合には、EMを中止する(適切なタイミングで 標準治療を導入する)。
⑥ NTM症患者でEM投与中だが症状がある症例
理学療法を行い、NTM症が原因であれば治療適応の可能性が高い(治療開始を総合判断す る )
ERJ openの論文です。
イタリアのStefanoのグループからの単施設の報告になります。
2021年7月から2024年12月の期間にIRCCS Humanitas Research Hospitalで登録された気管支拡張症574例のうち、139例(24.2%)で気管支鏡検査が行われていました。
この研究対象患者では、全例気管支洗浄が行われていたようです。
気管支鏡検査を行った所、58.3%で菌が検出され、菌種の内訳は以下の通りでした。
・H. influenzae:15.8%
・P. aeruginosa:15.1%
・MAC:11.6%
・S. aureus:6.5%
・A. fumigatus:4.3%
特に、喀痰が得られない、あるいは培養陰性が続く症例でも、菌の陽性率は60%以上と高率でした。
さらに、この結果、51.1%で治療の方針に変更があったようです。
気管支拡張症の患者さんに気管支洗浄を行う際には、検査後の増悪が懸念されますが、今回の研究では検査後の増悪に関する記載はありませんでした。
実臨床では、菌が未検出でも増悪を繰り返す症例や、胸部CT所見が悪化していく気管支拡張症を経験するかと思います。
そのような症例では、気管支鏡検査の検討が必要かもしれません。

