お知らせ
気管支拡張症を主診断名として有し、かつ重症喘息を合併している症例に対するテゼペルマブ(抗TSLP抗体)の有効性に関する論文が、CHEST誌から報告されました。
【背景】
喘息と気管支拡張症の合併は決してまれではなく、欧州のEMBARCレジストリでは、気管支拡張症患者の約31%に喘息の合併が認められています。
喘息を合併する気管支拡張症では、増悪頻度が高く、より重症な経過をたどることが知られています。
一方、気管支拡張症では好中球性炎症を主体とする非Th2型炎症が関与することも多く、従来の生物学的製剤の効果が限定的な症例も存在します。
テゼペルマブはTSLPを阻害する薬剤であり、Type2炎症だけでなく、より上流の気道上皮由来サイトカインを標的とする点が特徴です。
そのため、喘息と気管支拡張症が重なる複雑な病態に対しても、有効性が期待されています。
【研究の概要】
本研究は、イタリアの8大学病院で行われた多施設観察研究です。
対象は、気管支拡張症を主診断名として有し、かつ重症喘息を合併している症例のうち、テゼペルマブが投与された22例です。
治療開始前、3カ月後、6カ月後に、呼吸機能、喘息コントロール、呼吸困難、喀痰量、増悪頻度などが評価されました。
患者の年齢中央値は65歳で、女性は41%でした。
ベースラインでは全例がICS/LABA/LAMAを含む吸入治療を受けており、41%が経口ステロイド、27%が長期アジスロマイシンを使用されていました。
また、36%は過去に他の生物学的製剤を使用されていました。
【主な結果】
テゼペルマブ投与後、臨床的に重要な改善が複数の指標で認められました。
●気管支拡張症増悪の頻度
治療前1年:3 (IQR 2-5.8)
治療中:0 (IQR 0-2)
●喀痰量
ベースライン:20 mL (IQR 5-45)
3か月後:7.5 mL (IQR 0-20)
6カ月後:0 mL (IQR 0-10)
●mMRC
(mMRCスコアが1以上の患者割合)
ベースライン:82%
3か月後:43%
6カ月後:41%
●%FEV1
ベースライン:62.0% (IQR 49.0-79.0)
3か月後:68.0% (IQR 56.0-85.0)
6カ月後:67.5% (IQR 53.0-80.5)
●ACTスコア
ベースライン:14点 (IQR 12-19)
3カ月後:20点 (IQR 17-24)
6カ月後:21点 (IQR 19-23)
【コメント】
Type 2-highの気管支拡張症や、喘息合併例の気管支拡張症に対する治療戦略は、いまだ確立されていません。
しかし、本論文のように、喘息に対する生物学的製剤が、喘息症状の改善に加えて、気管支拡張症増悪の抑制や喀痰量の減少にも寄与する可能性が報告されています。