お知らせ
先日発出された, ERSの気管支拡張症ガイドラインのPICOの要点をまとめてみました。
■PICO1:Airway clearance techniques
対象:Patients with bronchiectasis
推奨度:強
エビデンスレベル:very low
▶Remarks
・方法に決まりはなく, 症例毎に個別化されるべき.
・以前のガイドラインでは, 慢性的な湿性咳嗽が対象だった.
⇒dry bronchiectasisでも有用かもしれない.(特に, CTで粘液栓を認める症例などでは)
・ACTsを指導しておくことは, 増悪期などの症状悪化時のためにも有用である.
■PICO2:Mucoactive drugs
対象:Where airway clearance has failed to control symptoms
推奨度:条件付き
エビデンスレベル:very low
▶Remarks
・DNAseは推奨しない.
・患者の合併症, 治療の負担, 忍容性を考慮して決定すべき.
・包括的な気道クリアランス治療の一部として行う.
*包括的な気道クリアランス:
“Personalized airway clearance instruction with or without devices, and regular physical exercise”
■PICO3:Inhaled antibiotics
対象:High risk of exacerbations and, chronic infection with P. aeruginosa despite standard care
推奨度:強
エビデンスレベル:moderate
▶Remarks
・増悪ハイリスクの患者:
前年の増悪回数が2回以上
or 1回のSevere 増悪
or 1回の増悪+強い症状
・治療効果や期間を決めて投与. 効果不良, 忍容性不良であれば, 中止する.
・気道攣縮のリスクがあるため, 初回吸入時は監督下で.
*緑膿菌以外の病原菌の慢性感染に対しては条件付き推奨, エビデンスレベルはmoderate.
■PICO4:Long-term macrolides
対象:High risk of exacerbations despite standard care
推奨度:強
エビデンスレベル:moderate
▶Remarks
・緑膿菌感染やその他の菌の感染の有無を問わない.
・NTM感染がある場合に単剤投与はしない.
(マクロライド投与前に, NTMは除外しておく)
・最も汎用されているのはAZM. (250 mg連日もしくは500 mg週3回)
■PICO5:Non-macrolide oral antibiotic
推奨しない
エビデンスレベル:Very low
▶Remarks
・頻回の増悪リスクのある患者で, マクロライドが禁忌や無効な場合には検討の余地あり.
■PICO6:Eradication treatment
対象:Patients with a new isolation of Pseudomonas aeruginosa
推奨度:条件付き
エビデンスレベル:Very low
▶Remarks
・New isolationとは:
初めて検出された時
もしくは
長期間検出されなかった後に, 再び分離された場合.
・除菌方法(様々な方法がある)
① 2週間の全身抗菌薬投与.
喀痰培養検査のフォローで緑膿菌が検出されなければ, 抗菌薬投与終了する.
②2週間の全身抗菌薬投与後に, 4週~3か月間の吸入抗菌薬を追加.
■PICO7:Inhaled corticosteroids
推奨しない
推奨度:条件付き
エビデンスレベル:low
▶Remarks
・喘息やCOPD合併例では使用可.
・末梢血好酸球数に基づいた推奨については, 今後の研究が必要.
・ICSの必要性について再評価すべきである.
一部の患者では, ICSの中止が適切かもしれない.
■PICO8:Pulmonary rehabilitation
対象:Patients with breathlessness and/or impaired exercise capacity
推奨度:強
エビデンスレベル:Very low
▶Remarks
・Airway clearance strategiesも含む.
・定期的なphysical activityを奨励する.
次回開催日は
2025年10月17日(金)18 時~
になります。
今回は明治薬科大学の渡辺史也先生に、クロファジミンについてお話していただきます。
その他、症例相談や話題のある方はお気軽にご提示ください。
ZoomのURLはメールでお送りします。
参加希望でメールが届いていない方は、お問い合わせから会員登録をお願いします。
先日、Journal of Infection and Chemotherapyから渡辺先生のクロファジミンのreviewがpublishされましたので、クロファジミンを使用する機会のある先生方は是非ご一読ください。
ERS2025がオランダで開催されております。
それにあわせて、気管支拡張症のERSガイドラインが発出されました。
さらに、ERSとATS合同のPCDの診断ガイドラインも発出されております。
緑膿菌は気管支拡張症の代表的な予後不良因子であることが知られております。
インフルエンザ桿菌も気管支拡張症において高頻度で検出される代表的な菌種ですが、増悪や死亡に与える影響については明らかにされていません。
インフルエンザ桿菌と気管支拡張症に関するReviewが先日Publishされましたので、まとめてみました。
Haemophilus influenzae in bronchiectasis - PubMed
■インフルエンザ桿菌とは
・グラム陰性桿菌(小型で球菌様にも見える)
・19世紀後半に初めて報告.
・当初は, インフルエンザウイルス感染の原因菌と考えられていた.
→のちに, インフルエンザウイルスが同定され, 二次感染であることが判明した.
・ Haemo:血液, philic:好む, 血液成分:X因子, V因子が発育に必要
・莢膜型と無莢膜型(NTHi)に分類.
(NTHi=Nontypeable H. influenzae)
・莢膜型はa-fの血清型に分類される.
・b型(Hib)は組織侵襲性が高く, 重症である.
*気管支拡張症において問題となるのは, NTHi
■インフルエンザ桿菌の病原性
・Fimbriae, Adhesins:接着因子. 気道への定着.
・Lipooligosaccharide:LPSのO-抗原多糖が欠損. 強い炎症誘発作用.
・IgAプロテアーゼ:IgA不活化. LAMP(リソソーム関連膜タンパク質)の切断.
・クオラムセンシング
・バイオフィルム形成
■インフルエンザ桿菌が気管支拡張症に与える影響
・若年やearly stageに比較的多い菌
・緑膿菌とは排他的に存在
・入院率や死亡率には影響しないと考えられている.
・肺機能やQOLへの影響も明らかでない.
・軽症増悪のリスク因子にはなるかもしれない.
・除菌治療の有効性については明らかでない.
気管支拡張症において、世界で現在進行中の治験について、まとめてみました。
各試験の詳細は、ClinicalTrials.govをご確認ください。
・BI1291583:DPP-1阻害薬、経口薬、phaseⅢ、NCT06872892
・HSK31858:DPP-1阻害薬、経口薬、phaseⅢ、NCT06660992
・RSS0343:DPP-1阻害薬、経口薬、phaseⅡ、NCT06775340
・XH-S004:DPP-1阻害薬、経口薬、phaseⅡ、NCT06981091
・Itepekimab:抗IL-33抗体、注射薬、phaseⅡ、NCT06280391
・Ensifentrine:PDE3, 4阻害薬、吸入薬、phaseⅡ、NCT06559150
・CSL787:免疫グロブリン、吸入薬、phaseⅡ、NCT07048262
・AZD0292:緑膿菌に対するモノクローナル抗体、注射薬、phaseⅡ、NCT07088926
・CHF6333:好中球エラスターゼ阻害薬、吸入薬、phaseⅠ/Ⅱ、NCT06166056
・RESP30X:NO、吸入薬、phaseⅠ/Ⅱ、NCT06663176
Brensocatibに続いて、多数のDPP-1阻害薬の治験が走っているようです。
